湖沼や河川,海域などの底地形を計測する作業を深浅測量といいます。 観測ボート直下の底地形を、走航線上に沿って面的な広がりの底地形データを取得する「マルチ方式」が主流になりつつありますが、弊社では従来から行われている「シングルスキャン方式」でおこなっています。 シングルスキャンによるデータ取得方式は、秒ごとに深さデータと位置データを観測し、走航軌跡(図面)上に展開して等深線図を調製するという方法です。 走航ラインの間隔を狭めて測点密度を増やし、T密度の粗い三次元データからTINの生成⇒等深線データなどに出力します
中間処理作業が少し煩雑ですが、作業費用が安価であるというメリットは捨てがたく、深浅データの目的や用途によっては適切な選択とも言えます。何よりも、コストの縮減は大きなメリットです。

Maxam28 海洋深浅艇

測深技術の進化は目覚ましく、GARMIN社が主導するチャープ(測深)方式が注目されています。異なる周波数の測深波を連続的に発射するこの方式は、面的な”深”深度の計測を可能にする廉価で画期的なもので、既に魚探のハイエンド機に多く搭載されています。 精度を要求される深浅測量では、ナローやサイドスキャンソナーが用いられていますが、コストと需要のバランスが微妙なところから、弊社の導入予定はありません。 しかし、安価に三次元計測が可能なチャープ方式は、次世代の深浅測量方式として有望であり、いろいろな条件(底質,水温,透明度,塩分濃度,深度など)下での測定精度に関する研究も盛んで、論文の発表数も増えています。 私たちが、安価にそして手軽に導入できる日が来るのも、近いかもしれません。

BayLiner26 海洋深浅艇

ダム湖や河川などの内水面で深浅測量を行う時は、12フィートの小型ボートに5馬力船外機を使用します。 乗員2名が、運転、測深操作、GNSS観測など、それぞれの担当操作を行いながら、パソコンにセットした測線上を走航して、位置⇔深さ情報を測定します。下写真は漁港内の深浅測量で、測深器艤装の様子です。